無二無三の“新潟鮨”
兄弟寿し
新潟市/寿司
新潟の地物で鮨のコースを提供
埋もれた魅力を洗い出す楽しさ
「お客様には頭で考えて食べるのではなく、純粋にご自分が美味しいかどうか、構えず鮨を楽しんでいただきたい」とは店主の本間龍史。昭和35年(1960年)創業の、兄弟寿しの2代目である。
とはいえコースで提供される高級店、ネタはもちろん提供のタイミング、店内の意匠にも感度を上げる。ことに2020年には権威あるグルメガイドで星を獲得した店だ。ときに、緊張した面持ちで訪れる客もいるという。そんな時は「会話で気持ちをほぐしたい」と、場を和ませる。新潟には多様な魚介が存在し、知られざる美味が未だ埋もれていること。また漆器や鎚起銅器など、さりげない器一つにも職人の技が施されていること――東京で修業後、新潟に戻った本間自身が新潟の魅力を再発見し、惹かれている。その思いのこもった語りがまた、鮨の味に華を添える。
客との阿吽の呼吸が、磨き上げる味
「離れた個室ではお客様に目が届かず、同じものが提供できない」ため、兄弟寿しはわずか9席のカウンターが主戦場だ。鮨種一つ一つに適した切り方や調味を加え、シャリの硬さや大きさを変える。信頼のおける仕入れと、その日一番良い状態に仕上げた魚が、鮨職人と客の呼吸が生み出すLIVE感をさらに高める。料理の送り手、受け手の、その距離の近さや関係性は鮨屋ならではのもの、と本間は言う。
「創業から60年経つうち、お客様も親子で、またお孫さんまで代を継いでお越しになります。今生の別れに、うちの鮨が食べたいとおっしゃる長年のお客様もおり、鮨屋冥利に尽きますね。単なる料理のやり取りでなく、私も日々、お客様に育ててもらっています」不惑の年を迎えるが、「もっと上がある」と学びは怠らない。県内外の名店の料理にも刺激され、本間の進化は続いていく。
店主本間 龍史
1982年、新潟市生まれ。高校を卒業後、東京・銀座や六本木(「蔵六鮨 三七味」)で江戸前鮨を学ぶ。29才で帰郷し、家業の「兄弟寿し」2代目を継承。イチゼンでは新潟の食材の定番「南蛮海老、バイ貝、真いか」を用いたメニューを考案、店では提供しないレシピ3種を瓶詰にした。「お酒の御供として、ご自宅でくつろぎながらぜひ、召し上がってください」
1982年、新潟市生まれ。高校を卒業後、東京・銀座や六本木(「蔵六鮨 三七味」)で江戸前鮨を学ぶ。29才で帰郷し、家業の「兄弟寿し」2代目を継承。イチゼンでは新潟の食材の定番「南蛮海老、バイ貝、真いか」を用いたメニューを考案、店では提供しないレシピ3種を瓶詰にした。「お酒の御供として、ご自宅でくつろぎながらぜひ、召し上がってください」